もう逢えない?女性の花形職業だった「エレベーターガール」はなぜ見かけなくなったのか?
■昔は必ず見かけた「エレベーターガール」…今は?
30代の筆者が子供だった頃、大手百貨店のエレベーターには「エレベーターガール」と呼ばれる女性がいました。
エレベーターガール、昭和9年頃(Wikipediaより)
乗客から行先階を聞き、「次は〇階、〇〇のフロアでございます」と優雅な声でアナウンスする彼女たちは、「女性の花型職業」と呼ばれていました。
しかし最近では、エレベーターに乗ってもほとんど見かけませんよね?
エレベーターガールは、いったいどうしてあまり見かけなくなってしまったのでしょうか?
■エレベーターガールの歴史
日本で初めてエレベーターガールが採用されたのは、1929(昭和4)年、松坂屋上野店でした。
元々、松坂屋のエレベーターは手動式で操作が大変難しく、男性が運転していました。
当時は扉の開閉なども、手で行っていたのだそうです。
しかし松坂屋上野店は1923(大正12)年に、関東大震災で全焼してしまいました。
本館が再建されたのは1929(昭和4)年でしたが、その際新しく導入されたエレベーターが「水平停止開閉式」という当時の最新型だったのです。
以前のものより格段に操作がしやすくなったエレベーターに、当時は「昇降機ガール」と呼ばれたエレベーターガールが初めて採用されたのは、この頃でした。
操作がしやすくなったといっても、この時代のエレベーターは現在のようなボタンひとつで動く全自動式ではありません。
エレベーターガールたちはハンドルや足元のボタンを使って上昇・下降・停止の操作と満員のお知らせを行い、
「次は〇階でございます。6階には◯◯がございます」
などのフロア案内、さらに各フロアに到着するたびにエレベーターの外へ出て「呼び込み」まで行っていたというのですから、見た目以上に大変な仕事だったことでしょう。
■現在もエレベーターガールがいるのはどこ?
そんなエレベーターガールですが、「発祥の地」である松坂屋上野店では2006(平成18)年4月に常駐ではなくなり、2007(平成19)年には完全に廃止されました。
そのもっとも大きな理由は、エレベーターが現在のように誰でも簡単に操作ができる全自動式になったことでした。
発祥の地ですら廃止されてしまっているなら、現在エレベーターガールに会える場所はもうないのでしょうか?
実は小田急百貨店・新宿店のエレベーターには「昔からつけているので」という理由で、今も外部委託のエレベーターガールがいます。
こちらのエレベーターも、もちろん現在は手動式ではありません。
しかし駅から直結の店舗ということもあり「お客様をご案内する」という目的もあるのだそうです。
また高島屋・日本橋店には、エレベーターの操作のほか受付・館内放送・各フロアへの案内などを行う「ご案内係」と呼ばれる女性従業員が配置されているとのこと。
かつての花型職業は時代に沿った形で、今も存在しているのですね。
2019年12月12日 8時58分
ちなみにいろんな百貨店の女性店員です。いずれも再掲で、年代は概ねです。(1)1929年 松坂屋上野店 エレベーターガール
(2)1933年 白木屋
(3)1955年 名鉄百貨店
(4)1972年 大丸 受付嬢 pic.twitter.com/Ivz0G16Rnj— 戦前~戦後のレトロ写真 (@oldpicture1900) June 1, 2019
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